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離婚が成立しハッピーメールを使った体験談

数年前、行きつけのバーで知り合った常連客から『ハッピーメール』という出会い系サイトを教えて貰った。長年連れ添った古狸と離婚が成立したばかりで、独身時代の遊び心が戻ってきた私は、早速このサイトを利用しみてみることにした。

今、考えれば運が良かったのだろう。
最初に知り合った四十代前半の熟女とは、中年特有の淫靡な欲望をぶつけ合うことができた。その次に出会った二十代後半の若さ溢れるギャルとは、爽やかな快楽に溺れることができた。

幸先良くスタートを切れた私は、三人目の女性に何の疑いも持たず食指を伸ばした。
三十代前半の主婦で、トラックの運転手をしている夫と小学二年生になる娘と一緒に、賃貸マンションに住んでいるという。声が可愛く、性格も良さそうだったので、その日のうちに「会おう」と持ちかけた。返事は「子供が帰ってくるまでなら」ということで、近場の喫茶店で会うことにした。

その喫茶店は、JR○○駅から歩いて五、六分の、駅前通りに面した八階建てのインテリジェントビルの一階にあった。約束の時間より十五分ほど早く到着した私は、店内の少し奥まったテーブル席に腰を降ろして、女性の到着を待った。

約束の時間ちょうどに、女性が店のドアを開けて入ってきた。
店内を一瞥すると、すぐに私の姿を確認したようで、真っ直ぐに私の座るテーブルに向かってきた。サイトに掲載されていた写真と間近で見る彼女の容姿には雲泥の差があった。
(これは騙されたか・・)
そう思った時は、もう後の祭りだった。肩まで伸びた髪を無造作に束ねているせいか、派手な口紅のせいで品なく見えるせいか、とても三十代前半には見えず、一気に私の獣性が霧消していってしまった。

三杯目の珈琲を飲み干しても、一向に会話は盛り上がらず、虚しく時だけが流れていった。つまらなそうな顔でテーブルに頬杖をつきながら、ガラス越しに見える人波の往来を眺めている彼女に、だんだん腹が立ってきた私はすくっと立ち上がり、レシートを掴むと入口近くにあるキャッシャーに向かった。追い駆けてきた彼女を無視するように会計を済ませ、地下鉄○○駅の方角へ足早に歩き去った。

人生にそうそう幸運は転がっていないことを思い知らされた出会いだった。



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